理想の注文住宅を建てるには

理想の注文住宅を手に入れ、絶対に失敗しないための注文住宅の秘訣を1級建築士である建築家八納啓創がお伝えするブログです

相手の話を真剣に聞く心構え8つの視点

「八納さんは、なぜ相手の話を分かりやすく整理して、相手がすっきり出来るように取りまとめが出来るのですか?」と、よく言われます。そういっていただけると大変ありがたいのですが、個人的にはまだまだと思っています。
 
ただ、手前味噌的な話で恐縮ですが、これまで1000件以上の家づくりやそれに類する相談を受けてきことで、自分なりに相手の話を真剣に聞く方法というものを体系立ててきました。

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振り返ってみると、これからお伝えする8つの視点を意識することで、ずいぶんと人とのコミュニケーションを改善することが出来たと思います。特に私たちのような専門職の場合は、専門的な知識がある分、相手の心に寄り添うという視点がどうしてもおざなりになりがちです。
 
今回は、それをシェアしたいと思います。
 
 
心構え1.相手の話を聞きながら、次に何を言おうかと考えている自分を知る
 
ほとんどの人は、相手の話を聞きながら「次に自分は何を言おうか?」と考えています。子供にこれをやると「もう!ちゃんと話を聞いてよ!!」と指摘されます。多くの方が実感しているのではないでしょうか?
 
実は、このような状態だと本当の意味で相手の話を聞いていることにはなりません。多くの場合がこのような状態になっていることをまず自覚することが、はじめに大切になります。
 
「もしかしたら、ちゃんと相手の話を聞けていないのでは?」と考えてみましょう。
 
 
心構え2.話をするときは、事前に何も考えないで話し始める訓練をする
 
なぜ、相手の話を聞きながら「次に何を言おうか?」と考えてしまうかというと、話をするときの習慣として、「事前に考えてから返答しよう」と思ってしまうからです。人は、沈黙が続くと「何かしゃべらなきゃ!」という感覚に陥りやすいため、事前に考えながら話を聞いて返答しようとしてしまいます。
 
私たち設計士にしても、相手の話を聞きながら、「専門的に話を整理してお返ししなきゃ!」という思いが働きやすい分、相手の話を聞きながら「ああ、この話題ならこういうふうに返答しよう」と決め打ちしてしまいがちです。
 
特に男性は、「相手の話を聞く=自分が解決してあげる」と思いがちです。
相手の話から解決できる糸口をずっと考えるので、そのことで思考が埋め尽くされ、相手の話の中に含まれている感情の起伏や表情から読み取れる状況などが見えづらくなってしまいます。
 
その結果、相手は「本当に話を聞いてくれているのかしら?」と、気持ちが離れてしまいます。
 
ここは多くの男性が知らず知らずにはまっている「罠」みたいなものです。
なかなかこの「罠」から出るのは難しいですが、ポイントはあります。
 
まず、話をするときは事前に何も考えないで話し始める訓練をすることです。
 
例えば、スピーチでは、事前に何も考えずに、出番になってから話し始めるような取り組みをしてみましょう。多くの人はこれが恐怖で、はじめのうちは頭が真っ白になるかもしれませんが、繰り返し練習していくと、急に話をふられても自然と話が出来るようになります。
 
聞き上手になるというのは、「何か返答しなきゃ」という強迫観念から抜け出すことが鍵になります。そのための、解決策がこれなのです。
 
 
3.相手の表情と言っている内容の差異をみる
 
自分の返答をすることに意識がいかなくなると、相手の話にフォーカスする力は強くなってきます。そうすると、相手の話をしている内容と顔の表情の差異などが良く見えてくるようになってきます。
 
例えば、とても悩んでいる話をしているのに、その人の顔が笑っているということもあります。逆に楽しそうな話をしているはずなのに、目が死んでいるというようなこともあります。相手の話を聞くというのは、こういった観察をして気づくこともとても重要です。
 
 
4.相手の本当に感じている感情を感じてみる
 
「話をしている内容」「その人の表情」「内心本当に感じていること」の間にどれだけ差異があるかを感じることで、本当にその人が話したい内容が見えてきます。
 
例えば先ほどの例で、悩んでいる話をしているのに、顔が笑顔の人は、内心「悩んでいることが自分らしい、誇らしい」と感じているようなケースもあります。楽しそうに話をしている人の目が死んでいる場合は、その人はポジティブに振る舞って人生を頑張っているかもしれません。
 
これらの例のように、差異がどのようにあるかを観察して実感できるようになると相手が本質的に何を言おうとしているのかを理解できるようになります。
 
しかし、ここに一つ大きな壁が出てきます。それは「自分が普段感情を感じれる範囲でしか、相手の感情を理解できないため、自分の感情を普段から感じるようにしていないと、相手の本音を感じることが難しい」という点です。
 
特に、男性や社会活動をしている人は「感情を感じることは面倒くさい」「感情は思考の邪魔をする」という観念が強いため、普段から感じる心を閉ざしていて、場合によってはマヒしてしまっています。
 
街中を歩いていて、ふと目線を下げると道端にかわいくて小さな花が咲いている。
その花を見て「わぁ、かわいくてきれいだな~」と感じれる心はとても大切です。
 
人は感情の生き物です。どれだけ思考優先でしゃべっている男性でも、その背景には感情がベースにあります。思考的に話を取りまとめているように思っている人でも、本当はその背景にある感情的な部分で合意があるので、物事が進んでいるのです。
 
そのためには普段から「感じる」心を閉ざさずに、日々過ごすことはとても重要です。そして感じる心を取り戻すにつれて、この精度は高まっていきます。
 
 
5.相手の表情、内容、感情の差異を整理してフィードバックする
 
悩みながらも笑顔の人を見てフィードバックできることとして「悩まれていて大変そうですね。しかし、雰囲気から見るとそのことで悲しまれているような感じではないですが、何か思い当たることはありますか?」と言うことが出来ます。
 
楽しそうに話をしながら目が死んでいる人の場合は「楽しむことも含めてどんなことにも全力投球で頑張っているんですね。どうやったらそれだけ楽しむことが出来るのですか?」という感じで話をずっと聞いているとそのうち「実は、自分でも頑張りすぎているかなって思って、少し疲れることがあるんです」という本音がポロッと出てくることもあります。
 
 
6.フィードバックに対しての相手の表情や感情を読み取る
 
5のフィードバックの前提として「話を伺って私が感じたことをフィードバックしてもいいですか?」と許可をとることはとても重要です。なぜなら、「自分の許可を取らずに勝手に自分の心に土足で入ってこられた」と相手が感じる可能性があるからです。許可を得た場合のみ5のフィードバックをします。そうすると、このフィードバックで相手がさらにどういった表情になるかを観察します。
 
悩みながらも笑顔だった人に先ほどのフィードバックをしてどのような表情になるか?
場合によっては、「良く分かってくれた」というような表情になる場合もありますし、「あなたに何が分かるの!」と少し不機嫌になるような場合もあります。
 
相手が素直に自分のずれを受け止めて認識した場合に、例えば「私のフィードバックを聞いて、表情が曇りましたが、どんな気分なのですか?」などと、また5に戻ってフィードバックをしていきます。
 
 
7.頭を空っぽにして相手の話を聞いていると、メッセージなどが降ってくるのを感じる
 
5と6を繰り返し観察しながらフィードバックをしていると、ふと「あ、この人はこの悩みを感じることで、こういう人生を手に入れたいんだな」といった感じの直感が降ってくるようになります。
 
直感が降ってくるという表現は怪しく聞こえるかもしれませんが(笑)、まさにそんな感じのヒントがポンと天から降りてくる感じなのです。人によって天から降りてくる感覚というものは、視覚的に文字が見えたり、風景で見えたり、ズバッと体で感じたりと様々です。
 
私は普段の設計において、5,6のことを繰り返し話を聞いてフィードバックしていると、ポンっとその人たちの生活している風景や空間の情景が浮かんできたりします。
 
「お二人の話を聞いていると、窓辺でカーテンが揺れながら、お庭で育てている花の香りが家の中に入ってきてそれを眺めて過ごしているようなライフスタイルが見えてきましたよ」と、ご夫婦にフィードバックすると、「まさにそういった暮らしがしたいと思っていたんです!」という感じで、話が進んでいきます。
 
 
8.相手の人生の背景をストーリー的に感じてみる
 
5~7のことを繰り返し聞きながら進めると、相手の人生観の輪郭が見えてきたりします。そうすると、「この人は幼少期にこういった人生を歩んで、青年期にはこういう感じになって、大人になってこういう考え方がベースになったんだな」と、相手の人生ストーリーを感じるようになります。そのストーリーをインストールした感覚で話を聞いていると、相手の人と同調してきて、「相手がどのように物事を考えるか」が一致してきます。ストーリー仕立てにして、より相手の人生観を体に浸透するのがミソです。
 
 
・・・いかがだったでしょうか?
私は職業柄、そのように相手の感覚をインストールしてから、そのご家族のライフスタイルをイメージし、職能的に建築の空間を考えるということをしています。
 
ちなみに、1~8まで書きながら、全然できていない部分もあるな~、こんな自分が書いてもいいのかな~と、少し冷や汗をかいています(笑)。
 
心理カウンセラーである妻にもこの文章のフィードバックをもらいましたが、おおむね好評でしたので、ここで公開したいと思います。