住む人が幸せになる家づくり 1級建築士 八納啓創

家造りに関するQ&A、幸せを形にする家づくり、住環境づくりをはじめ、日々の気づきをつづるブログです

地震にも強く安心できる木造構造のきほん

木造住宅を建てる時、多くの方が構造に関して
 
「構造は大丈夫なのだろうか?」
「専門家に任せてあるのだから問題ない」
「でも、欠陥住宅などTVで見るととんでもないものもある」
「本当に我が家の場合は大丈夫だろうか?」
 
など、一抹の不安を感じることがあるでしょう。
 
では、現在巷で建設されている木造住宅の構造は安心できるものなのでしょうか?
 
結論から言うと、私たち住宅従事者の中にも「え!それは知らなかった!」と言って知らない間に、構造ミスを起こしている場合もあり、業界としてはすぐにでも改善していく必要がありますが、現在のところ、これからお伝えすることを建て主が押さえておくことが重要にもなってきます。
 
通常建てられる2階建ての木造の家は、軒高さ9m以下、最高高さ13m以下、面積500㎡以下で分類される「4号建築物」と言われるものが殆どです。
 
これから家づくりを考えている方は、この「4号建築物」に関する下記にあげる5つのポイントを念頭に置きながら家づくりを進めることをお薦めします。
 
ポイント1)構造は、建物構造検討+地盤検討の2つから成り立っている
まず1つめは、構造の成り立ちです。
建物は、地面の上に建ちます。ですので、建物自体の構造が安全かということに加え、その下の地面がこの建物をしっかりと支えることの出来る地盤かどうか?を確認する必要があります。建物がしっかりとしていて、そしてその重量をしっかりとささえることが出来る地盤かどうか?支えることが難しい地盤なら地盤補強をする必要もあります
 
ポイント2)地盤検討はかならず地盤調査を行って地盤補強が必要かどうかを検討する
以前は、地盤を調査せずそのまま家を建てるというケースもありましたが、最近は地盤調査を行って地盤の状況を確認して、地盤補強の有無を確認してから判断するようになりました。ただ、それでも建売の家などで「地盤調査結果やそれに対する見解、保証の関係の資料を提示してください」と伝えても、これらの類する書類が全く出てこないことも少なくなりません。しかし、地盤の保証を確実にするためには、地盤調査資料とそれに対する見解が必要になるのです。そのためには、新築においては確実に資料を手に入れましょう。中古の家に関してもこれらの資料があるかないかで「家の価値」自体が変わってきますので、ポイントとして押さえておきましょう
 
ポイント3)建物構造を確認するには3つの方法がある
構造を安全性を確認するには3つの方法があります。
1つ目は、「仕様規定」。壁量計算、四分割法、N値計算など。
2つ目は、「性能表示計算」。耐震等級、耐風等級など長期優良住宅などでがこれに当てはまります。
3つ目は、「構造計算」。ビルなどと同じく許容応力度計算という方法です。
 
1→3に向かって難易度と精度が上がります。
1つ目の仕様規定で構造の安全性を確認する方法が一般的です。
2つ目と、3つ目の方法は、より詳細に構造のことを精査する方法です。
 
ポイント4)3つの方法のそれぞれの特徴を知っておく
前述した3つ目の方法である構造計算。これは木造3階建てになると必須になります。
近年では、構造解析用のソフトを使って計算し、3つの方法の中でも一番詳細に構造のことを精査でき、安心感の高い方法です。ただし、費用が別途20〜30万円ぐらい必要になるケースが多いです。
 
2つ目の方法は、1つ目の方法をベースに、床の合成や部材のサイズ検討などを詳細に行っていきます。近年、長期優良住宅などを取得するためにはこの2つ目の方法か3つ目の方法を活用しないといけません。また、この2つの方法に関しては、確認申請機関でも審査対象として審査を行います。ただ、費用が10〜15万円ぐらいかかるのが普通ですので、その費用のことを押さえておく必要もあります。
 
1つ目の仕様規定についてです。世の中で一番普及している方法で、別途構造計算費用を必要としないことが多いです。具体的な構造の検討内容は、壁の量と壁のバランス、 N値などの金物検討をそれぞれの建物で個別に検討し、それ以外の基礎配筋、柱小径、その他などは、仕様規定で定められている内容のものを使います。基本的には建築基準法上の最低の基準を満たしているかどうかの判定に使われますし、構造に精通している設計者の場合は、設計者の判断でより安全側に検討するためにもある程度応用を効かせるなども可能です。。しかし、建て主にとっては別の視点で気をつけないといけないことがあります。それをポイント5で説明しましょう。
 
 
ポイント5)仕様規定を使う場合、建て主が押さえておきたいこと
はじめに伝えた4号建築物(普通の木造2階建てと思っていただいたらいいです)の仕様規定で構造検討をする場合、「4号建築物の特例」というものがあります。
 
これは建築士が責任持って構造検討をしておけば、確認申請機関などで審査を無しにするという内容のものです。ですので、仕様規定で構造検討した木造2階建てまでの住宅は、申請機関で通常構造の審査を行いません。
 
完全に設計者判断に委ねられるのです。
もちろん、多くの設計事務所や施工会社では、それぞれで仕様規定にあるように壁量計算や壁量バランス、金物の計算などを行って、安全性を確認するようにしています。
 
しかし、中には「特例は個別に検討しなくても大丈夫」「これまでの経験からこれくらい壁を設ければ大丈夫だろう」と感覚で構造検討をしている従事者もいて、欠陥住宅の調査をする専門家の話だとそう言った考えで訴訟になっている数も少なくないということです。
 
では、どうすればいいのでしょうか?
仕様規定で設計を依頼する場合は「設計図面の提示と合わせて建物の構造検討資料の提示をお願いできますか?」と言ってみましょう。それらの資料が出てくることが最低条件にするのです。そうすることで、仕様規定にのっとった検討をしていることが確実にできるでしょう。
 
まとめ
家を手に入れる人にとって、構造のことを把握するというのはとても難しいことです。ですので、ご自身で構造の内容をチェックするなどはする必要はありません。
ただし、上記に挙げた5つのポイントに関しては、専門家に確認する意味で知識として把握しておくことが重要でしょう。
特に気をつけたいのは、地盤調査における地盤補強の有無やその資料、仕様規定による構造検討の場合は、必ず構造検討資料も提示してもらうということです。